つながりあういのち

感想など

著者の千石正一が亡くなったのも、この本が出版されたのも知ったのはともにツイッターだった。

千石先生といえば、私にとっては『わくわく動物ランド』。番組ともども少なからず影響を受けた。その出演に関してのエピソードなども本書には含まれており、とても興味深い。

エリマキトカゲは子供のころから動物の図鑑で知ってはいたが、あんなへんな走り方をするとは『わくわく動物ランド』で見るまで知らなかった。それを紹介してくれたのも千石先生だったとは。

『わくわく動物ランド』に出始めたころの千石先生は、腰の辺りまで髪があって、後ろで束ねていた。見かけからして個性的ではあったが、本書を読むと、子供のころからずいぶんアクが強い人物だったということがよくわかる。そこがまたいいんだよね。

実は食べることが大好きだったとか、おそらくテレビでは出てこないようなことなど、千石先生をテレビで見たことある人ならやっぱり読んでおきたい一冊。もちろん、千石正一を知らない人にも、ぜひ読んでみてほしい。

子供たちも読むかと思って買ってきたのだが、二人とも千石先生を知らないのは残念だった。まあ、その辺においておけば、そのうち読むだろう、きっと。

最後はもう執筆ができなくなったのであろう、尻切れトンボな感じが否めない。しかし、そのリアリティがまた堪えていい。最後の出身高校での講演と質疑応答がそれを補って余りある。なんか脱線してしまうのも妙にリアルで、病気だから何でもあり!それに、好きなことを夢中になって話す姿も目に浮かぶ。

千石先生の言葉で一番覚えていて、胸に突き刺さっているのは、『わくわく動物ランド』でトウキョウダルマガエルを特集したときのことだと思う、次のような言葉。

トキのような鳥を保護することもいいんですけど、こういう身近にいた生き物がいつの間にかいなくなっている。こういうことのほうが、よっぽど問題なんじゃないですか。

そのコーナーの最後にやや怒り交じりに言い放ったように見えた。

千石先生、あなたのミームの一部は、ここにちゃんと受け継がれていますよ。ご冥福をお祈りします。

購入・各種データ

画像も文字もアマゾンにリンクを張ってあります。

つながりあういのち 生き物博士 千石センセイ最後のメッセージ

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初回更新:2012-06-22 (金) 14:24:22
最終更新:2012-06-23 (土) 01:19:20
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