今この世界を生きているあなたのためのサイエンスⅡ

きっかけ

職場近くのなかなか良い本をそろえている本屋に平積みになっているのを手に取ったのがきっかけ。前から気になっていた地球温暖化が出ているのは下巻に相当するこちらの方で、かなりのところを退社後にむさぼるように立ち読みしてしまった。その後についてはの方に書いたとおり。

感想など

Ⅱの内容は

  1. 宇宙空間の利用
  2. 地球温暖化

宇宙空間の利用については、項目名から連想されるよりもずっと多くの話題について書かれている。スペース・シャトルについてはこういうものの見方があるのかとまったくもって新鮮だった。それとステルス戦闘機。こういう原理とはまったく知らなかった。

さて、Ⅰとあわせてもこの本のメインは地球温暖化問題である。すべてがここに向けて収束するように書かれているといっても過言ではない。テロもエネルギーも原子力もすべてはこれと関連している。テロは一見関係ないようだが、どういうエネルギーを使うかということと関連している。まあ、読めばすべてわかる。

ノーベル平和賞をアル・ゴア元副大統領が受賞したとき、私は怒りに震えたが、この本ではアカデミー賞最優秀ドキュメンタリー賞受賞作『不都合な真実』を科学ではなくプロパガンダだと断じている。これには溜飲が下がった。

著者は地球温暖化は起こっているし、その原因は人為的なものである可能性が高いとし、そうであるからこそ多くの温暖化のウソの証拠のせいで人々が温暖化そのものをウソと思うことを恐れ、まずは一般に流布している誤解を解くことから始める。素直に温暖化を信じていた人には衝撃だろう(もっともこの数年くらいは、温暖化懐疑論もずいぶんテレビでも出回ったようだからそうでもないのか。今年も寒いしね。今年寒いから温暖化してないってことにはまったくならないんだけど)。

ウソの証拠暴露の次は、役に立たない解決策の断定。痛快極まりない。ちょうど昨日の夕刊に東京電力がCO2排出権を購入しないと出ていたが、諸手を挙げて賛成である。中国が削減努力をしなければ、日本の努力など焼け石に水である。そのことの理由がきちんと説明してある。アメリカが京都議定書に参加しなかった理由がよくわかった。同時に、日本がいかに馬鹿かも。外国と不利な“お約束”を取り付けるのは、幕末以来からのお家芸ですかね。

では、どうすればいいのか。一番の柱は省エネルギー。われわれ日本人は、約一年かけて壮大な実験を行ってきた。確かに省エネはかなりできる。

しかし、身近なところでいえば、毎日の通勤電車、蛍光灯が未だに抜いてあるのは、本を読むのにちょっとつらい(夏の冷房温度を高くし、クールビズにしたのは個人的には快適というか健康的ですこぶる良かった)。

この本で主張されている省エネは、我慢の省エネではなく、快適さを保ったままでの省エネ。それも世界人口の増加の上限まで予測した上で、発展途上国の生活レベルが欧米並みになっても実現可能だという。

さすがにこれは楽観的だと私でも思うが、そう信じたくもあり、なにより無意味な解決策に大金投じて自分たちの首を絞めるよりはずっといいと思う。まあ、技術革新を促すという意味では京都議定書も役に立っているとは思うが。

省エネとともに、第2の柱として新テクノロジーについても簡単に触れてある。バイオ燃料については、これまた知らなかったことについて書いてある。例えば、

現在、ブラジルの自動車燃料のほぼ半分は、サトウキビから作られたエタノールです。(中略)よいものもあれば、あまりよくないものもあるのです。トウモロコシから作ったエタノールは、ほぼ間違いなく、最悪です。

アメリカでは、そのトウモロコシの2割以上がバイオエタノールに転用されていて、その影響で各種の農産物のインフレが起きているという(これは聞いたことある)。

最後にまた太陽エネルギーや原発についても出てくる。地熱や風力についても。

この本を読んでも何か結論が出るわけでもなく、それは科学でもない。それでも、知らないではすまされない知るべきことが満載。2冊合わせて3,000円は、内容を考えると破格だと思う。

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今この世界を生きているあなたのためのサイエンスⅡ

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初回更新:2012-03-04 (日) 19:18:24
最終更新:2012-03-05 (月) 23:09:51
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