采配(落合博満)

感想など

恥ずかしながらというか残念ながらというか、中日の落合監督の解任報道で、監督としての落合の実績のすごさを知った。8年間全てAクラス入り(しかも3位は一度だけ)、優勝4回(最後の2年は球団史上初の連覇)、クライマックスシリーズを勝ち上がっての2位からの日本シリーズ優勝。堂々たる名監督ぶりである。

落合監督が就任してからの数年くらいで、落合監督はもしかして名監督なのかもと漠然と思っていたが、ここまですごい結果を残しているとは、大変申し訳ないが知らなかった。

プロ野球シーズンが終わり、別の本を探すべくふらっと大型書店に入ったとき、平積みしてあるのを手にとって読み始めたら、面白くてかなり読んでしまった。そのあと、どうしても手元に置いておきたくなったので購入した。

読みながらつくづく思うのは、やはり落合は名監督であり、勝つべくして勝ってきたんだということ。私が勤める会社の創業者が、生前、「勝つには理由がある」とよく言っていたが、まさにそれだと感じた。

テリー伊藤の『なぜ日本人は落合博満が嫌いか?』という本があることからもわかるように、落合は好き嫌いが分かれるようだが、私は断然好きなタイプ。「オレ流」と言われるがすべては堂々たる模倣だというあたり、わが意を得たりである。

読んでいて一番うれしかったのは、“「初」には大きな価値がある”のところ。300セーブを達成した岩瀬仁紀の偉業を翌日のスポーツ新聞でどのように報道されるかを落合が楽しみにしていたというところ。温かみを感じた。そして、この後。

 例えば、日本プロ野球の最多本塁打は王貞治さんの868本だ。歴代2位の野村克也さんが657本だから、800本台のみならず、700本台に到達したのも王さんだけという視点から、その記録の偉大さを十分に理解することができる。
 では、通算500本塁打を初めて達成したのは誰かといえば、それは1971年の野村さんなのだ。この時点では、本塁打という記録の荒野を先人切って駆け抜けていたのは野村さんであり、王さんは野村さんの背中を追う立場だった。プロ野球にもそういう時代があったのである。
 (中略)「初」の歴史を紐解けば、その価値をさらに深く認識することができるのではないか。

まさにそのとおり。しかし、今まで私にはそういう視点がなかった。

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采配

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初回更新:2012-01-30 (月) 09:43:29
最終更新:2016-09-29 (木) 08:23:58
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