鳥類学者 無謀にも恐竜を語る

期待にたがわず面白い!恐竜を知るのに鳥を知ることが出来る!

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先日他界したが、私の高1のときの担任はすごい人だった。私の人生に最も影響を与えた一人である。2年間英文解釈の授業も受けたが、そこで何度か聞かされたのが「英語を勉強すると国語が出来るようになる。フランス語を勉強すると英語ができるようになる」ということだった(先生は作家・詩人であり、フランス語の先生でもあった)。読みながらその言葉を思い出した。この本を読むと、恐竜を知るのに鳥を知ることが出来る!

この本を知ったのは、まったくの偶然だった。Google Chromeでhontoと入力する途中で補完作用が働いてhonz.jpが出てくる。honz.jpには何度かいったことはある。hontoに行くつもりだったのが、そのときはたまたまそれもいいかといってみた。すると以下の記事に出くわした。

これを読んで、もう買いと決めた。今これを書くために改めてリンク先を読んだが、その文章を最後まで読んだのは今が初めてだった。つまりリンク先を最後まで読まずに買うと決めていた。

鳥は恐竜の子孫というより、鳥は今でも恐竜

恐竜の子孫は、トカゲではなく、ワニでもなく、鳥であるというのを知ったのはおそらく『ジュラシック・パーク』の頃である。つまり20年くらい前。そして2年前に『生命の跳躍』を読んで見方によっては鳥は今でも恐竜というのに衝撃を受けた。

この本にももちろんそのことが書いてある。そもそも鳥類学者の著者は、恐竜学者ではないといいながら、鳥が今も恐竜ならば鳥類学者は恐竜学者だと開き直り(笑)、いろいろな推論を展開する。

第1章、第2章でのさまざまな鳥の話も非常に興味深いのだが、なにより第3章の「無謀にも鳥から恐竜を考える」の推論が最高に面白い。これらを実証して初めて科学といえるが、実証前のさまざまな仮説、まさに生物ミステリーで、醍醐味といえよう。あるいは、科学エンターテイメントのはじめの第一歩とでもいおうか。

まるでネットのような文章

職場で、こんな面白い本があると帰りがけにちょっと出し、例えばこんな感じと以下を読み上げた。

ところで、鳥盤類や鳥脚類というグループには鳥という漢字が入っているが、系統的には鳥類とは関係ない。獣脚類も「獣」とついているが、哺乳類とは関係ない。豚と真珠くらい無関係なのだ。あまりにまぎらわしいので名づけ親には一言物申したくなる。ついでに、トゲナシトゲトゲとクロサギの白色型もまぎらわしさでは引けを取らない。みんなまとめて正座させて説教してやりたいものである。

日本語の表現に敏感な一人が、「ああ、ネットの文章みたいですねえ」と言っていた。ああ、なるほど、と。トゲナシトゲトゲってなんだ?と言う人のためにもちろん欄外に注も入っている。

  • トゲナシトゲトゲについて補足
    • 1年半くらい前?嵐が出ていたAndroid auのCMで「トゲナシトゲトゲ 画像」と音声入力で検索するシーンがあり、私はトゲナシトゲトゲについてはそこで知った。職場でもこのCMを知っている人は当時あまりおらず、このバージョンのCM自体も流れたのはせいぜい数週間だったのだと思う。

この「ネットの文章みたい」な小技が随所に炸裂する。これを嫌がるヒトもいるかもしれないが、きっとここまで私の文章に付き合ってくれたヒトはハマるに違いない。

注もなく、わかるヒトにしかわからないのが、「わが生涯にいっぺんの悔いなし」というさりげない表現。本文のどこに出てきたのか私もわからなくなってしまったが(わかったらぜひ教えてください)、これは『北斗の拳』で主人公ケンシロウの敵であり、(義理の)長兄でもあるラオウが死ぬ直前にはくセリフ。これは私はたまたま知っていたが、知らずにこういうのがたくさんあるのかもしれない。

小技を一つずつ紹介していくと、とんでもない量になるので、とにかく本書を手にとって味わってみて欲しい。

それにしても「生物ミステリー」というシリーズ物にするつもりなのか、技術評論社は。つづく著者たちへのバーがめちゃくちゃが高くなっていると思うが、本当にシリーズとして成立するのか心配である。

購入・各種データ

画像は楽天ブックス、文字はアマゾンにリンクを張ってあります。私はhontoで買いました。

鳥類学者 無謀にも恐竜を語る (生物ミステリー)

混沌の間>混沌の書棚>鳥類学者 無謀にも恐竜を語る

初回更新:2013-04-29 (月) 00:55:00
最終更新:2013-04-29 (月) 01:26:52
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